篤姫　恋するドラマ

2008年NHK大河ドラマ　篤姫

'08 1/6～12/14放送　日曜日　NHK　20:00-20:45（初回 22:00-21:00、最終回 20:00-21:15）　

原作：宮尾登美子「天璋院篤姫」　脚本：田渕久美子　演出：佐藤峰世　制作統括：佐野元彦　音楽：吉俣良

題字：菊池錦子　語り：奈良岡朋子

出演：宮﨑あおい　瑛太　小澤征悦　原田泰造　長塚京三　樋口可南子　岡田義徳　佐々木すみ江　春風亭小朝　沢村一樹　ともさかりえ　榎木孝明　的場浩司　真野響子　山口祐一郎　長門裕之　涼風真世　平幹二朗　高橋英樹　堺雅人　堀北真希　松田翔太　松坂慶子　稲森いずみ　鶴田真由　高畑淳子　高橋由美子　東儀秀樹　星由里子　若村麻由美　中村メイコ　余貴美子　佐藤藍子　平岳大　草刈正雄　辰巳琢郎　中村梅雀　玉木宏　市川実日子　江守徹　北大路欣也　ほか

「女の道は、前に進むしかない、引き返すのは恥でございます。」

NHK大河ドラマ第47作。時代に翻弄されながらも、自らの運命を前向きにとらえ力強く生き抜いた ”薩摩おごじょ” の一生を描いた宮尾歴史絵巻の金字塔「天璋院篤姫」が原作。激動の幕末、一人の女性の勇気と誇りが日本を大きく動かした…幕末のヒロイン、篤姫の波乱に満ちた生涯が幕を開ける―「明治維新」という未曾有の大変革に向け、日本が激しく揺れ動いた時代。その動乱の幕末に己の信念を貫き、ひたむきに生きた一人の女性・篤姫。薩摩の島津家の分家に生まれ、藩主・斉彬の養女となった篤姫（1836～83年）。斉彬から見込まれた篤姫は、政略によって江戸幕府13代将軍・徳川家定の正室として江戸城に送りこまれ、やがて大奥3000人のまとめ役となり、江戸城無血開城に大きな役割を果たし、幕末から明治にかけての動乱期を力強く生き抜いた生涯を描く波瀾万丈の一代記。女性主演の大河ドラマは06年の「功名が辻」以来2年ぶり7作目。宮尾登美子氏の原作は「義経」に続き2作目。平成20年度文化庁芸術祭参加作品（第32回「桜田門外の変」）。脚本・田渕久美子氏は初の大河ドラマ執筆。宮﨑あおいは放送開始時の年齢は22歳1カ月で、大河ドラマ史上最年少主演。また、朝の連続テレビ小説のヒロイン経験者が大河ドラマの主役を単独で務めるのは初めて。

【篤姫】　天保6年（1835）－明治16年（1883）没。薩摩・島津家の分家に生まれながら、江戸幕府の第13代将軍・徳川家定の正室となった女性。しかし、病弱だった家定は嫁いでから約1年半後に亡くなり、篤姫はわずか23歳で、落飾して「天璋院」と号します。将軍の跡継ぎをめぐる幕府内の凄まじい抗争、さらには、篤姫の故郷薩摩を中心とした反幕府運動の激化…。篤姫は大奥を預かる総帥として、明治維新の動乱の中、嫁ぎ先である徳川宗家のために、そして日本のために力を尽くしました。また、江戸城に迫りくる西郷隆盛ら薩摩藩を中心とした新政府軍に働きかけ、無血開城の実現にも大きな役割を果たしました。明治維新後は、徳川宗家を継いだ家達らの教育に専念し、未来の日本を支える人材の育成に心血を注ぎました。

C A S T

篤姫（あつひめ）　於一（おかつ）　天璋院（てんしょういん）・・・宮﨑あおい　*　徳川家定の正室

■　青春の仲間たち

肝付尚五郎（きもつき　なおごろう）　小松帯刀（こまつ　たてわき）・・・瑛太　*　篤姫の幼なじみ　薩摩藩家老

西郷吉之助（さいごう　きちのすけ）　隆盛（たかもり）・・・小澤征悦　*　薩摩藩の下級武士

大久保正助（おおくぼしょうすけ）　利通（としみち）・・・原田泰造　*　薩摩藩の下級武士

■　生家、今和泉島津家の人々

島津忠剛（しまづ　ただたけ）・・・長塚京三　*　篤姫の実父　島津御一門四家・今和泉島津家の当主

お幸（ゆき）・・・樋口可南子　*　篤姫の生母

島津忠敬（しまづ　ただたか）・・・岡田義徳　*　篤姫の三兄　今和泉島津家12代当主

菊本（きくもと）・・・佐々木すみ江　*　篤姫の今和泉家時代の養育係

■　京都・近衛家

近衛忠熙（このえ　ただひろ）・・・春風亭小朝　*　五摂家筆頭、近衛家当主

■　薩摩の人々

小松清猷（こまつ　きよみち）・・・沢村一樹　*　薩摩藩の名門の出身

お近（ちか）・・・ともさかりえ　*　小松清猷の妹　小松帯刀の妻

肝付兼善（きもつき　かねよし）・・・榎木孝明　*　尚五郎の実父　薩摩藩の名門・肝付家の当主

有馬新七（ありま　しんしち）・・・的場浩司　*　薩摩藩士

お琴（おこと）・・・原田夏希　*　小松帯刀の側女　祇園芸妓の琴花（ことはな）

大久保フク（おおくぼ　ふく）・・・真野響子　*　大久保利通の母

■　鶴丸城（鹿児島城）の人々

島津久光（しまづ　ひさみつ）　忠教（ただゆき）・・・山口祐一郎　*　島津家29代当主忠義の父

島津斉興（しまづ　なりおき）・・・長門裕之　*　島津家27代当主

お由羅（ゆら）・・・涼風真世　*　島津斉興の側室

ジョン万次郎（ジョンまんじろう）・・・勝地涼　*　土佐国出身の漂流民

島津忠義（しまづ　ただよし）・・・中川真吾　*　久光の嫡男

於哲（おてつ）・・・吉高由里子　*　島津忠教の娘

調所広郷（ずしょ　ひろさと）・・・平幹二朗　*　島津家の家老

島津斉彬（しまづ　なりあきら）・・・高橋英樹　*　篤姫の養父　島津家28代当主

■　徳川家の人々

徳川家定（とくがわ　いえさだ）・・・堺雅人　*　篤姫の夫　徳川第13代将軍

和宮（かずのみや）　静寛院（せいかんいん）・・・堀北真希　*　孝明天皇の妹　篤姫の義嫁

徳川家茂（とくがわ　いえもち）・・・松田翔太　*　徳川第14代将軍

■　江戸城大奥の女性たち

幾島（いくしま）・・・松坂慶子　*　篤姫付き老女

滝山（たきやま）・・・稲森いずみ　*　大奥御年寄り　家定・家茂・慶喜の3代にわたり、大奥女中の総取締り役

お志賀（おしが）・・・鶴田真由　*　将軍家定の側室

本寿院（ほんじゅいん）・・・高畑淳子　*　将軍家定の生母

唐橋（からはし）・・・高橋由美子　*　篤姫付き老女

重野（しげの）・・・中嶋朋子　*　天璋院付きの女中

■　江戸城大奥の女性たち

孝明天皇（こうめいてんのう）・・・東儀秀樹　*　第121代天皇

村岡（むらおか）・・・星由里子　*　右大臣近衛忠熙に仕える老女

観行院（かんぎょういん）・・・若村麻由美　*　和宮の実母

庭田嗣子（にわた　つぐこ）・・・中村メイコ　*　和宮付きの女官

有栖川宮熾仁（ありすがわのみや　たるひと）・・・竹財輝之助　*　和宮の許婚、熾仁親王（たるひとしんのう）

岩倉具視（いわくら　ともみ）・・・片岡鶴太郎　*　孝明天皇の側近

■　薩摩江戸藩邸の女性たち

英姫（ひさひめ）・・・余貴美子　*　篤姫の義母　島津斉彬の正室

小の島（このしま）・・・佐藤藍子　*　薩摩藩江戸屋敷老女

■　幕末の政治家たち

徳川慶喜（とくがわ　よしのぶ）・・・平岳大　*　徳川第15代将軍

阿部正弘（あべ　まさひろ）・・・草刈正雄　*　老中首座

堀田正睦（ほった　まさよし）・・・辰巳琢郎　*　老中

井伊直弼（いい　なおすけ）・・・中村梅雀　*　大老

坂本龍馬（さかもと　りょうま）・・・玉木宏　*　薩長同盟を成立させ、明治維新を推し進めた幕末の志士

お龍（おりょう）・・・市川実日子　*　坂本龍馬の妻

徳川斉昭（とくがわ　なりあき）・・・江守徹　*　「御三家」の一つ、水戸徳川家の前藩主　徳川慶喜の父

勝海舟（かつ　かいしゅう）・・・北大路欣也　*　幕臣　江戸城無血開城の立役者の一人

完全版第壱集	完全版第弐集	原作・天璋院篤姫（上）	原作・天璋院篤姫（下）

ストーリー前編	ストーリー後編	歴史ハンドブック	篤姫の生涯

第 1 回　天命の子

13代将軍・徳川家定の御台所として大奥を統率し、江戸城無血開城にも尽力した天瑶院篤姫の生涯を描く。1835年の鹿児島。藩主の跡継ぎである島津家の斉彬（高橋英樹）がお国入りする中、島津家の分家である今和泉島津家に女児が誕生。父親の忠剛（長塚京三）と母親のお幸（樋口可南子）は「一（かつ）」と名付ける。後に天瑶院篤姫となる於一は、おてんばな娘に育つ。それから10年以上が過ぎ、藩では家老の調所（平幹二朗）の指揮の下、厳しい財政改革が進んでいた。農政を担当する吉之助（小澤征悦）は農民の苦しい生活を目の当たりにし、忠剛に訴えに来る。しかしそれが調所の耳に入り、忠剛は処分を受けることに。領民思いの父が責められることに納得できない於一（宮崎あおい）は、友人の尚五郎（瑛太）と共に調所の屋敷に乗り込む。

第 2 回　桜島の誓い

於一（宮崎あおい）の父の忠剛（長塚京三）はひたすらに謹慎し、家政の改革に励むことで藩からの処分を何とか免れる。家老の調所（平幹二朗）による藩財政の再建は着実に進み、借金も完済した。だが一方で、藩士や農民たちの生活は困窮を極め、吉之助（小澤征悦）や正助（原田泰造）ら若い藩士たちの間では、調所を重用している藩主の島津（長門裕之）と側室のお由羅（涼風真世）への憎しみが高まっていた。折しも、斉彬（高橋英樹）の子供たちが、立て続けに死亡。しかも床下から、のろいの儀式に使われたと思われる人形が発見される。そんな中、調所に招かれた於一は、尚五郎（瑛太）とともに屋敷を訪問。江戸から急な呼び出しを受けた調所は、旅立つ前に於一とゆっくり話したかったと告げる。ところが江戸に向かった調所は、老中の阿部（草刈正雄）から密貿易などを疑われ、藩をかばって自害してしまう。

第 3 回　薩摩分裂

薩摩では藩主の斉興（長門裕之）の側室、お由羅（涼風真世）が息子の忠教（山口祐一郎）を跡継ぎに推し、嫡男の斉彬（高橋英樹）を慕う一派と激しく対立していた。於一（宮崎あおい）は、藩の政治情勢に興味津々。しかし忠剛（長塚京三）に、子供が知るべきことではないとたしなめられる。そんな中、お家騒動に巻き込まれた正助（原田泰造）が謹慎処分になった。それを尚五郎（瑛太）から聞いた於一は、正助の家族が苦しい生活をしているに違いないと考え、今和泉家の台所からカツオやタイを持ち出して届ける。正助は、於一と尚五郎、吉之助（小澤征悦）の心遣いに深く感謝する。正助の妹たちが内職に追われる姿を見た於一は、自分のかんざしやくしを正助の母、フク（真野響子）に渡そうとする。だがフクは受け取らない。彼女を傷つけたと悩む於一にお幸（樋口可南子）は「薩摩の女の誇り」を教える。

第 4 回　名君怒る

お家騒動の末にようやく藩主となった斉彬（高橋英樹）が薩摩に入り、米価の改革などに積極的に取り組み始めた。忠教（山口祐一郎）の藩主就任を画策した一派は、どのような処罰が下るかとおびえるが、何の処分もないままに日が過ぎる。一方、西郷（小澤征悦）ら若い藩士は大久保（原田泰造）が赦免されないことにいら立っていた。於一（宮崎あおい）や尚五郎（瑛太）は、斉彬の側近を務める清猷（沢村一樹）と妹のお近（ともさかりえ）を訪問。斉彬の真意を問いただすが清猷は一切答えず、斉彬を信じることが忠義の道と諭す。そんな折、斉彬が島津家の分家全員を城に招き、一人一人と対面したいと言いだした。忠剛（長塚京三）は、於一にあいさつのけいこをつける。ところが登城当日、於一は清猷の制止を振り切り、大久保らの赦免について斉彬を激しく問い詰める。

第 5 回　日本一の男

於一（宮崎あおい）のもとに、斉彬（高橋英樹）からひとそろいの「日本外史」が届いた。うれしそうに史書を読みふける於一に菊本（佐々木すみ江）は、女性の幸せは良い嫁になることだと説く。一方、忠剛（長塚京三）は忠教（山口祐一郎）から、息子の右近（加治将樹）が於一に一目ぼれし、結婚したいと言っていると聞かされる。忠剛は、忠教の家との縁組は斉彬に誤解を与えるのではないかと考え、どうしても前向きになれない。そのころ、忠敬（岡田義徳）から於一の縁談を聞き激しく動揺した尚五郎（瑛太）は、於一に結婚をどう考えているのかと尋ねる。ところが、彼女は"日本一の男"と結婚したいと答えるのみ。そんな折、アメリカ帰りの万次郎（勝地涼）が薩摩にやって来た。万次郎と会った尚五郎は、アメリカでは好きな相手と結婚できると教えられ、忠剛に於一への思いを打ち明ける。

第 6 回　女の道

於一（宮崎あおい）を養女にしたいという斉彬（高橋英樹）の申し入れに、忠剛（長塚京三）は感激する。於一を育ててきた菊本（佐々木すみ江）も、この上ない名誉と喜ぶ。だが於一自身は突然のことに驚き、断れないことは知りつつも、どうすればよいのか迷う。養女の件を知った尚五郎（瑛太）は、於一と結婚できないことを思い知り、自暴自棄に。西郷（小澤征悦）の祝言の席に招かれた尚五郎は思い余って泣き崩れてしまう。一方、お幸（樋口可南子）は、菊本の様子がおかしいことに気付く。養女に選ばれたことをどうしても納得できない於一は、斉彬と直接に会って理由を聞きたいと忠剛に懇願。城に出向く日の朝、菊本は於一に"女の道"は一本道であり、引き返すことは恥であると迫る。斉彬と率直に話した於一は養女になることを決意するが、帰宅した彼女を待っていたのは自害した菊本の姿だった。

第 7 回　父の涙

菊本（佐々木すみ江）の自害に激しい衝撃を受けた於一（宮崎あおい）は、忠剛（長塚京三）が彼女の遺体をまるで罪人のように処分したことを知り反感を抱く。その夜、於一はお幸（樋口可南子）から、菊本が遺書を残していたと聞かされる。遺書には、本家の養女となって輝かしい未来が待っている於一のことを考え、自分のような身分の低い者が育てたという事実を消そうと思い死を選んだと書かれていた。於一は菊本の思いをあらためて知り、斉彬（高橋英樹）の養女になることの重大さを実感する。一方、江戸には、日本との通商を求めてアメリカ軍艦が迫っているという情報が長崎の出島からもたらされた。幕府の首脳陣がその対処に悩む中、斉昭（江守徹）は徹底して攘夷（じょうい）論を主張。斉彬は、混乱が深まる政治状況を見て、ある策謀を実現するために一日も早く於一を本家に迎え入れたいと考える。

第 8 回　お姫様教育

鶴丸城に入った於一（宮崎あおい）は、堅苦しい城のしきたりになじめない。その上、広川（板谷由夏）をはじめとした奥女中たちからは"分家の娘"とばかにされ、投げやりな態度を示すようになる。一方、正助（原田泰造）は3年ぶりに謹慎を解かれ、尚五郎（瑛太）や西郷（小澤征悦）は一安心。だが喜びを分かち合いたい於一が、言葉を交わすこともできない高い身分になってしまったことに寂しさを感じる。そんな中、ついにアメリカ艦隊が浦賀に現れた。斉彬（高橋英樹）は国力や軍備の増強を図ろうとする一方、京都の忠熙（春風亭小朝）にある依頼をする。そのころ於一は気晴らしに香を楽しもうと、お近（ともさかりえ）を城に呼ぶ。お近は、お幸（樋口可南子）から於一に手紙を渡すように頼まれていた。それは、忠剛（長塚京三）が焼き捨てたはずだった菊本（佐々木すみ江）の於一あての遺書だった。

第 9 回　篤姫誕生

島津本家にふさわしい姫になるようにと、於一（宮崎あおい）には京の近衛家に仕えていた幾島（松坂慶子）が教育係として付けられた。諸芸百般に通じた幾島の指導で、姫養成のための特訓が始まる。そんな中、於一は薩摩に戻った斉彬（高橋英樹）から「篤子」という新しい名前を授かり篤姫となる。幾島のあまりの厳しさに篤姫は斉彬に愚痴をこぼすが、幾島を信じられないということは斉彬も信じられないということだと諭される。斉彬の帰還は、浦賀に現れたアメリカ艦隊の情報も薩摩にもたらした。篤姫は、西洋の文明に強い興味を抱く。そのころ、尚五郎（瑛太）や西郷（小澤征悦）、大久保（原田泰造）らも、同じく江戸から戻った清猷（沢村一樹）の話を通し、日本が欧米から交易を迫られている現実を知る。そんな中、12代将軍家慶が急死し、暗愚として知られる家祥（堺雅人）の将軍職継承が濃厚になる。

第 10 回　御台所への決心

篤姫（宮崎あおい）を次期将軍、家祥（堺雅人）に嫁がせたいという斉彬（高橋英樹）の意向を聞いた幾島（松坂慶子）は、これまでにも増して篤姫の教育に力を入れる。だが事情を知らない篤姫は全く興味を示さず、何も上達しないまま時が過ぎる。一方、江戸ではペリーがもたらした国書に対して老中の阿部（草刈正雄）が広く意見を募る。しかし海防参与に就任した斉昭（江守徹）が強硬な攘夷（じょうい）論を主張し続けていることもあって、政局は混迷を深める。そのころ幾島の困り果てた様子を見かねた斉彬は、篤姫自身に御台所の候補となっていることを明かす。皆が寝静まった深夜、篤姫は城から脱走を図るがあっけなく露見。とうとう観念した篤姫は、斉彬の真意を知りたいと素直に申し出る。混乱する幕府を立て直すために、島津家の発言力を大きくしたいという斉彬の願いを聞いた篤姫は心を動かされる。

第 11 回　七夕の再会

将軍家の正室となることを知り覚悟を決めた篤姫（宮崎あおい）は、幾島（松坂慶子）とともに歴史の勉強をはじめ鼓や琴など諸芸のけいこに打ち込む日々を送る。篤姫が将軍家に嫁ぐことを斉彬（高橋英樹）から聞かされた父の忠剛（長塚京三）は、お幸（樋口可南子）とともに娘の出世を喜ぶ。しかし、同時に娘がこれまで以上に遠い存在になってしまったことを悟る。そんな中、忠敬（岡田義徳）から篤姫のうわさを聞いた尚五郎（瑛太）は動揺。どうしても江戸に行きたいと清猷（沢村一樹）に懇願する。一方、藩内から広く改革案を求めていた斉彬は、西郷（小澤征悦）という下級武士の意見書が特に優れていることに感銘を受けた。斉彬はもっと西郷のことを知るため尚五郎を呼び出す。話をするうちに尚五郎が篤姫に強い思いを寄せていることを感じ取った斉彬は、彼が篤姫と七夕に再会できるよう計らう。

第 12 回　さらば桜島

篤姫（宮崎あおい）が江戸に向けて出立する日が近づいた。篤姫のお披露目のため、家中の主だった家のものが城に集められた。初対面の忠教（山口祐一郎）は、篤姫とじっくりと話し、その人物の大きさに素直に感服する。また篤姫は、忠剛（長塚京三）やお幸（樋口可南子）とも久しぶりの対面を果たす。しかし、幾島（松坂慶子）からは、実父母といえども家臣であり、もはや親とは思うなと厳しく申し付けられ、儀礼的なあいさつしか許されない。篤姫は感情を抑え続けることが出来ず、斉彬（高橋英樹）の面前で泣き崩れ、幾島に厳しくしかられる。

第 13 回　江戸の母君

徳川将軍家の御台所（みだいどころ）になるため、篤姫（宮崎あおい）はまず船で大坂に向かう。荒い波にもまれ激しい船酔いに苦しむ船旅となったが、篤姫と幾島（松坂慶子）のきずなはさらに深まった。その後、篤姫らは京都の忠熙（春風亭小朝）にあいさつに行く。そこで幾島は、家祥（堺雅人）が公家の娘を正室にするといううわさがあることを村岡（星由里子）から聞き、驚く。やがて江戸に着いた篤姫らは薩摩藩邸に入るが、斉彬（高橋英樹）の正室であり形式上は篤姫の母となった英姫（余貴美子）と篤姫は会えない。そのころ江戸城では、斉昭（江守徹）が篤姫を大奥に入れることに反対し、老中の阿部（草刈正雄）らを困らせていた。一方、薩摩では尚五郎（瑛太）が江戸に行きたいと願っていた。ところが、斉彬に選ばれ江戸へ向かうことになったのは西郷（小澤征悦）で、尚五郎は意気消沈する。

第 14 回　父の願い

御台所（みだいどころ）になどなれるわけがないと英姫（余貴美子）に言われた篤姫（宮崎あおい）は、江戸の薩摩藩邸で暗い日々を送る。そんな中、家祥（堺雅人）が"家定"と改名して第13代将軍となった。年明け、アメリカの船が再び江戸沖に出現。斉昭（江守徹）は「鎖国・攘夷（じょうい）」を徹底して主張するが、直弼（中村梅雀）らは和親条約を締結し下田と函館の開港を決める。江戸から呼び戻された斉彬（高橋英樹）は、薩摩を出る直前に病床の忠剛（長塚京三）を訪問。忠剛は斉彬にある頼み事をする。やがて斉彬は江戸の薩摩藩邸に到着。篤姫は斉彬に、御台所の件を素直に問う。斉彬は斉昭らの反対があることを明かし、忠剛が随分前に死去したことも話す。自分の死で動揺させたくないと願い話さないでほしいと頼んだ忠剛の思いと、あえて忠剛の死を伝えた斉彬の思いに触れた篤姫は涙を流す。

第 15 回　姫、出陣

西郷（小澤征悦）は庭方役に抜擢され、篤姫（宮﨑あおい）の嫁入り道具一式の選定を任される。そんな折、斉彬（高橋英樹）が重い病に倒れる。容態は一向に回復せず、藩内では、「お由羅（涼風真世）の呪詛調伏（じゅそちょうぶく）に違いない」と信じられるようになる。篤姫は、お由羅のもとに出向き、直接対決しようと意を決する。初めて対面したお由羅に、篤姫は率直にうわさの真偽を問いただす。

第 16 回　波乱の花見

斉彬（高橋英樹）の体調はようやく回復し、篤姫（宮崎あおい）の御台所（みだいどころ）の件が大詰めを迎えていた。家定（堺雅人）は本寿院（高畑淳子）の強い勧めに対し、せんべいがうまく焼けたら聞いてもいいと言って話をそらし続ける。斉彬は、強硬に反対している斉昭（江守徹）を説得するため、花見を口実に斉昭を薩摩藩邸に招いて篤姫と直接に会わせようとする。篤姫は斉昭が編さんしている「大日本史」を読み込み、斉昭との対面に備える。一方、薩摩では退屈な城勤めに飽きた尚五郎（瑛太）が、江戸で活躍する西郷（小澤征悦）をうらやんで、お近（ともさかりえ）に愚痴ばかりこぼしていた。そのような泣き言は聞きたくないから二度と来ないでほしいとお近にしかられた尚五郎は、目が覚める思いがして彼女に感謝する。

第 17 回　予期せぬ縁組

篤姫（宮崎あおい）が江戸城大奥にこし入れする時期が決まり、薩摩藩邸は華やいだ雰囲気に包まれる。西郷（小澤征悦）は篤姫の嫁入り道具の選定を命じられて奔走するが、幾島（松坂慶子）にはもっと質の高い物を用意しろと言われ突き返されてばかり。そんな中、尚五郎（瑛太）がようやく江戸勤務となる。初めての江戸暮らしに驚き通しの尚五郎は、お庭番として斉彬（高橋英樹）の身近で仕える西郷の姿に刺激され、蘭学などの勉強に励む。ところがそれから数カ月後、斉彬から呼ばれた尚五郎は、清猷（沢村一樹）が赴任先の琉球で病死したため、彼の妹のお近（ともさかりえ）と結婚して小松家を継げと命じられる。あまりに突然の縁談に動揺する尚五郎を見た斉彬は、特別に篤姫との面会を許す。篤姫と久しぶりに碁を打った尚五郎は、すっかり落ち着きを身に付けた彼女を見て、自らの運命に対し覚悟を決める。

第 18 回　斉彬の密命

大地震が起こったことで、篤姫（宮崎あおい）の江戸城大奥へのこし入れは白紙に戻った。篤姫が江戸の薩摩藩邸で暮らし始めて2年がたったが、婚礼のめどさえ立たない状況に、さすがの幾島（松坂慶子）も焦りを覚える。しかし、今の試練こそ将来の苦難に備えた自己鍛錬になると前向きにとらえる篤姫に、救われた気持ちになる。一方、薩摩に帰った尚五郎（瑛太）は斉彬（高橋英樹）の命令通り、お近（ともさかりえ）との婚礼の準備を進めていた。しかし、いまだ決心がつかない。そんなある夜、お近がひそかに尚五郎の家を訪れ、今回の縁組を尚五郎の方から断ってもらいたいと告げる。お近は、尚五郎よりも7歳も年上であり、体も弱いことを気にしていたのだった。尚五郎は彼女の謙虚で素直な心を知り、結婚を決意する。やがて篤姫の婚礼の日程が決定するが、斉彬は篤姫にある密命を与える。

第 19 回　大奥入城

婚礼を間近に控えた篤姫（宮崎あおい）は、いよいよ江戸城に入る。大奥の広さや調度品の豪華さ、使用人の多さを目にした篤姫は驚くばかり。程なく、篤姫は将軍家定（堺雅人）の生母の本寿院（高畑淳子）や使用人たちを取り仕切る滝山（稲森いずみ）らと対面する。篤姫は、嫁としての当然の礼儀としてしゅうとめとなる本寿院に下座からあいさつしたり、旧来の非合理的なしきたりを変えようとする。それらの行為に使用人たちは、風変わりな姫だとうわさする。夫となる家定にはなかなか会えない中、篤姫は家定の側室であるお志賀（鶴田真由）の存在を知る。そのころ伊豆の下田にはアメリカ領事ハリスが到着。家定との会談を求めるなど活発に外交交渉を始める。斉彬（高橋英樹）や阿部（草刈正雄）はその事態に対処するため次代将軍の選定を急ごうとするが、井伊（中村梅雀）は彼らの動きに警戒を強める。

第 20 回　婚礼の夜

婚礼の日が近づく中、篤姫（宮崎あおい）は城内でかくれんぼに興じる家定（堺雅人）の姿を目撃し、まともな人物なのかどうか疑問を抱く。一方、尚五郎（瑛太）は時代が動いているさなかに江戸や京から遠く離れた薩摩にいることに焦りを感じていた。家定が暗愚な将軍といわれていると大久保（原田泰造）から聞いた尚五郎は、篤姫が政治闘争に利用されているのではないかと危ぶむ。篤姫と家定の婚礼の日。儀式が続く中、家定が篤姫に関心を持つ様子はなく、夜になると一人でさっさと寝ようとする。篤姫は何とかして寝かさないように話しかける。しかし家定は昔話にしか興味を示さず、篤姫の不信感は高まる。幾島（松坂慶子）はついに、家定が暗愚といわれていたことを前から知っていたと篤姫に明かす。さらに幾島は、斉彬（高橋英樹）が家定は実は暗愚ではないかもしれないと言っていたことを話す。

第 21 回　妻の戦

家定（堺雅人）が愚か者のふりをしているのではないかと感じた篤姫（宮崎あおい）は、本人に真相を問い詰めようとする。だが、家定は篤姫のもとを訪れない。幾島（松坂慶子）や滝山（稲森いずみ）、家定の実母の本寿院（高畑淳子）らは篤姫の髪形や服装を変えることで家定の気を引こうと試行錯誤するが、一向に効果は見られない。朝、仏間で家定と顔を合わせた篤姫は、自分のもとに来てほしいと願い出る。ようやく訪れた家定に篤姫は、なぜ愚か者のふりをしているのかと聞く。だが家定は相手にせず、自分の子を持つつもりもないと告げる。その情報は幾島を通じ、すぐに斉彬（高橋英樹）にもたらされた。斉彬や斉昭（江守徹）らは、慶喜（平岳大）を次期将軍に擁立すべき時が近づいていることを悟る。一方、篤姫は側室のお志賀（鶴田真由）を呼び、家定の真の姿について質問する。

第 22 回　将軍の秘密

篤姫（宮崎あおい）は、家定（堺雅人）が暗愚なふりをしていると考えていたが、いまひとつ確信は持てなかった。しかし家定の苦悩を共有することで、真の夫婦になりたいという願いがますます強まる。一方、斉彬（高橋英樹）は慶喜（平岳大）と時局について語り合う機会を得た。慶喜のあまりに冷静な発言に、同席した西郷（小澤征悦）は不信感を抱く。そのころ薩摩では、家定の悪いうわさを聞いた尚五郎（瑛太）が篤姫のことを心配していた。尚五郎は薩摩に戻った斉彬や西郷にうわさの真偽を問うが、2人の話はどうも要領を得ない。そんな中、幕府はアメリカと下田条約を締結。アメリカが通商条約に向けた布石を打ち始めたことで、幕府は難局を乗り切るために次期将軍の早期決定を迫られる。ところが、斉彬と共に慶喜擁立の中心的存在だった阿部（草刈正雄）が急死。阿部を頼りとしていた篤姫は困惑する。

第 23 回　器くらべ

篤姫（宮崎あおい）に対してうつけのふりをすることをやめた家定（堺雅人）ではあったが、他の人々の前ではあいかわらず奇行を繰り返していた。家定から慶喜（平岳大）を将軍にする意思はないと断言された篤姫は、慶喜を推す斉彬（高橋英樹）の思いを考え、激しく悩んでいた。このころ、アメリカ総領事ハリス（ブレイク・クロフォード）は、家定との面会を要求する。強硬に反対していた斉昭（江守徹）が幕政から退いたことにより、幕府はついにハリスに江戸城登城、家定への謁見（えっけん）を許可する。斉昭という大きな後ろ盾を失った篤姫にとって、慶喜将軍擁立はさらに困難なものとなる。斉彬の命令を守ろうと必死の幾島（松坂慶子）に迫られ、篤姫は、慶喜を跡継ぎにと家定に願う。しかし家定から、自分が会ったこともない者を将軍に推薦するのはおかしいと諭される。そこで篤姫は、慶喜と慶福（松田翔太）の両方に会い、自分の目で二人の器量を確認しようと考える。

第 24 回　許すまじ、篤姫

ハリス（ブレイク・クロフォード）との会見を控えた家定（堺雅人）は、篤姫（宮崎あおい）に不安を打ち明ける。家定が相談してくれたことがうれしい篤姫は、将軍としての権威を失わない対面方法を考え始める。一方、本寿院（高畑淳子）は篤姫が慶喜（平岳大）を次の将軍に推薦しようと家定に取り入っていると考え、反感を覚える。滝山（稲森いずみ）は慶喜の世継ぎに反対している井伊（中村梅雀）が江戸に戻ってくることを本寿院に伝え、心強い味方になってくれるから心配ないと告げる。会見は間近に迫ったが、ハリス側は将軍と立ったままで対面したいと申し入れてきた。篤姫は相手の無礼に怒りつつも、ある妙案を思い付く。会見当日、会場に入ったハリスは何枚もの畳を重ねた上で出迎えた家定に驚く。それは、座った姿勢でも頭がハリスより高くなるようにするという篤姫が考えた作戦だった。

第 25 回　母の愛憎

家定（堺雅人）が倒れた。大事には至らなかったものの、篤姫（宮崎あおい）が気苦労を掛けていることが原因と考えた本寿院（高畑淳子）は、2人を遠ざけようとする。本寿院は家定が篤姫と過ごすことを望んでもそれを許さず、お志賀（鶴田真由）が相手をするように仕向ける。篤姫は誤解を解こうと本寿院に掛け合うが、世継ぎを産む気がないのだろうと非難されてしまう。そのころ西郷（小澤征悦）と大久保（原田泰造）は薩摩を出発し、熊本へ向かっていた。初めて薩摩の外へ出る大久保は、母のフク（真野響子）からも励まされ、自らの道が開けるのではないかと期待する。ところが、西郷と熊本藩家老との会談の席で、大久保は席を外すよう言われてしまう。一方、家定に会うことができず食事ものどを通らない篤姫は、自分が一人の女性として家定を心から慕っていることに気付く。

第 26 回　嵐の建白書

次期将軍をめぐる争いが本格化し、紀州徳川家の慶福（松田翔太）を推す井伊（中村梅雀）は、同じく慶福を推す大奥の本寿院（高畑淳子）と会い盟約を結ぶ。斉彬（高橋英樹）から慶喜（平岳大）を次期将軍にするよう密命を受けて大奥に入った篤姫（宮崎あおい）は、ますます追い詰められる。状況を打開するため、斉彬は幕府に建白書を提出。将軍位の継承における自らの立場を表明する。本心では慶福こそ将軍にふさわしいと考えていた篤姫だが、斉彬を追い詰めてしまったことに責任を感じ、あらためて家定(堺雅人)に慶喜を跡継ぎにするよう願い出る。一方、アメリカ総領事ハリス（ブレイク・クロフォード）から通商条約の締結を迫られた幕府は、異国嫌いの孝明天皇（東儀秀樹）の許しを得るため、老中の堀田（辰巳琢郎）を京に派遣。だが、井伊も朝廷に対する工作活動を始めていた。

第 27 回　徳川の妻

篤姫（宮崎あおい）は、父の斉彬（高橋英樹）を裏切ることになっても自分が納得するまでは慶喜（平岳大）と慶福（松田翔太）のどちらにも味方しないことを決めた。そんな折、井伊（中村梅雀）を大老に推すための嘆願書を持参した滝山（稲森いずみ）は、篤姫に賛同を求める。幾島（松坂慶子）は断固拒否するよう篤姫に要求。しかし篤姫は即答を避け、幾島との溝は深まる。一方、薩摩の斉彬は井伊に対抗し、慶永（矢島健一）を大老に推薦。篤姫の後押しをしようとする。だがそんな斉彬の思惑をよそに、篤姫は嘆願書の件を滝山に一任すると告げ、どちらが大老にふさわしい人物か見定めるために2人と対面。徳川家だけではなく力のある諸侯が政治を行うべきだと訴える慶永に対し、井伊は将軍家を守り抜き強い幕府を目指すべきであると主張する。双方の主張を聞いた家定（堺雅人）は、ついに大老を決める。

第 28 回　ふたつの遺言

井伊（中村梅雀）が大老の職に就き、次代将軍は紀州の慶福（松田翔太）に決まった。家定（堺雅人）は井伊と堀田（辰巳琢郎）に、万が一の時は篤姫（宮崎あおい）に慶福の後見をさせろと伝える。その直後、家定が発作を起こして倒れた。だが家定が病気になったことは隠され、篤姫や本寿院（高畑淳子）にさえ詳しい病状は知らされなかった。そんな中、権力を握った井伊は、独断でアメリカと条約を締結。斉昭（江守徹）や慶喜（平岳大）は井伊を追い落とそうとするが、失敗する。一方、薩摩では斉彬（高橋英樹）が西洋式軍隊の整備を進めていた。帯刀（瑛太）と西郷（小澤征悦）を前に斉彬は、幕府と国を改革するため兵を率いて上京すると表明。だが軍の訓練中に倒れた斉彬は、志半ばで帰らぬ人となってしまう。斉彬の死を伝えられた篤姫は、これまで読むことのできなかった父の手紙に初めて目を通す。

第 29 回　天璋院篤姫

家定（堺雅人）の死を知り悲しみに暮れる篤姫（宮崎あおい）は、外交使節との会見を勧めたり、将軍職の後継争いに巻き込んでしまったことが病弱な家定に大きな負担を与えたと自分を責める。一方、薩摩では藩主の斉彬（高橋英樹）の死によって前藩主の斉興（長門裕之）が復権をもくろみ、政局は混乱していた。帯刀（瑛太）は、斉彬の遺志を継ぎ幕政改革を断行したいという久光（山口祐一郎）の側近になる。片や斉彬の死に気落ちする西郷（小澤征悦）は、僧侶の月照（高橋長英）に諭され、斉彬の遺志を継ぐための政治工作を始める。そんな中、篤姫は周囲の反対を押し切り、側室のお志賀（鶴田真由）と生母の本寿院（高畑淳子）に家定の死を伝えようとする。ところがお志賀からは家定に無理をさせたことを責められ、本寿院からは息子を毒殺したのだろうと決め付けられてしまう。

第 30 回　将軍の母

次期将軍となる家茂（松田翔太）が江戸城に入った。家定（堺雅人）を亡くし天璋院となった篤姫（宮崎あおい）は、家茂の後見役となることに希望を見いだす。そんな中、幾島（松坂慶子）が将軍後継争いに敗れた責任を取り大奥を去りたいと告げる。一方、天璋院が幕政に口を出すことを防ぎたい大老の井伊（中村梅雀）は、戊午の密勅にかかわった反対派勢力を次々と弾圧し始める。それは後の安政の大獄の始まりでもあった。天璋院と対面した井伊は、西郷（小澤征悦）の居場所を問いただすとともに、密勅は朝廷が仕掛けた戦なのだから厳しく対処すべきだと主張する。京を追われた西郷と月照（高橋長英）は薩摩に逃れようとするが、藩の実権を掌握した斉興（長門裕之）は2人を捕らえようとする。帯刀（瑛太）と大久保（原田泰造）は2人を逃がそうとするが、彼らは海に身を投げてしまう。

第 31 回　さらば幾島

井伊（中村梅雀）の尊王攘夷派に対する取り締まりは厳しさを増す一方。家茂（松田翔太）は天璋院（宮崎あおい）に、井伊のしていることは正しいことなのかどうか分からないとこぼす。母親として家茂を元気づける天璋院をほほ笑ましく思いながら見詰めていた幾島（松坂慶子）は、少し寂しさも感じる。弾圧の嵐が吹き荒れる中、義母として天璋院の将軍家へのこし入れに尽力してくれた村岡（星由里子）にも危機が迫っていた。天璋院は家茂に村岡を救ってくれるよう頼もうとする。しかし滝山（稲森いずみ）は、私事で将軍に願い事などすれば井伊の思うつぼだと忠言。村岡の取り調べが迫り、天璋院は幾島にあることを命じる。取り調べの日、村岡は白い衣を身にまとって現れた。それは天璋院が婚礼の時に着ていた衣装で、村岡のりんとした姿と天璋院の威光を恐れた役人たちは腰が引ける。

第 32 回　桜田門外の変

天璋院（宮崎あおい）は、ついに幾島（松坂慶子）との別れの日を迎えた。天璋院は別れのあいさつなどいらないと強がるものの、涙が止まらない。そのころ、幕府では蒸気船"咸臨丸"をアメリカに向け出航させる準備を進めていた。家茂（松田翔太）と天璋院は、乗組員の勝（北大路欣也）と面会。一方、薩摩では激しい弾圧を行う井伊（中村梅雀）を打倒しようと、有馬（的場浩司）らが立ち上がろうとしていた。冷静だった大久保（原田泰造）さえ賛同し、帯刀（瑛太）も止められない。決起の日、有馬らのもとに藩主からの書状が届く。藩主直々の言葉に感動した彼らは、決起を思いとどまる。天璋院は井伊と対面。国を守りたい一心で自分の役割を果たしただけだと語る井伊に対し感銘を受けた天璋院は、これからは彼とも語り合いたいと願う。ところが間もなく、桜田門外で恐ろしい事件が起こる。

第 33 回　皇女和宮

井伊（中村梅雀）の急死は、幕府を大きく揺るがした。失われた権威を取り戻すため幕府では孝明天皇（東儀秀樹）の妹、和宮（堀北真希）と家茂（松田翔太）との縁組を進めていた。和宮に婚約者がいると知った天璋院（宮崎あおい）は猛反対するが、老中の安藤（白井晃）は聞く耳を持たない。一方、京でも和宮の母親の観行院（若村麻由美）や嗣子（中村メイコ）らが結婚に反対していた。しかし孝明天皇は、幕府に恩を売れば攘夷を実行できると説く岩倉(片岡鶴太郎)の言葉に心を動かされ、縁談を進めることを決める。そして、乗り気ではない様子の妹に日本国のためだと言い聞かせる。そんな中、天璋院のもとに薩摩藩から帰郷を勧める書状が届いた。天璋院は心が揺れるが、滝山(稲森いずみ)から書状は老中らがたくらんだものだと聞かされ、帰郷はせず徳川家を守っていこうと決意する。

第 34 回　公家と武家

和宮（堀北真希）の江戸入りが迫り、天璋院（宮崎あおい）は盛大に迎えようと張り切る。ところが朝廷からは、こし入れ後も和宮には御所風の暮らしを続けさせろと要求を突きつけられる。そのことで、江戸と京との間には対立の火種が生まれる。やがて和宮は江戸城に入り、家茂（松田翔太）と対面。家茂に対し不安を抱いていた和宮だったが、実際の家茂が優しくりんとした人物であることを知り、一目で引かれ始める。しかし天璋院との初対面で、敷物がない下座へ通された和宮らは激怒。和宮からも「天璋院へ」と呼び捨てのあて名を添えた土産が届けられ、双方の対立は激化する。そのころ薩摩では、精忠組がやり場のない思いを抱いていた。帯刀（瑛太）と大久保（原田泰造）は、久光（山口祐一郎）に今こそ幕政改革の時だと主張。精忠組をまとめるには、西郷（小澤征悦）の力が必要であると説く。

第 35 回　疑惑の懐剣

家茂（松田翔太）と和宮（堀北真希）の婚儀は無事に執り行われるが、慣習の違いから生じた江戸方と京方との確執はいまだ消えていない。天璋院（宮崎あおい）は、初の"お渡り"を迎えた家茂の様子が気になる。ところが和宮は家茂を拒み、さらには和宮が懐に刀を忍ばせていたという疑惑が持ち上がる。真相を問いただす滝山（稲森いずみ）に対し、観行院（若村麻由美）らは事実無根と猛反発。しかし、和宮だけは何も答えようとしない。一方、薩摩では西郷（小澤征悦）が奄美から戻ってきた。西郷は久光（山口祐一郎）に対し、京へ行くのは時期尚早であるし、当主でもなく官位もない久光にできることは何もないと告げる。久光は怒るが、帯刀(瑛太)の説得で京へ行くことは延期する。そんな中、今和泉島津家では、養子を迎えて隠居するように久光から命じられた忠敬（岡田義徳）が悔しさに打ち震えていた。

第 36 回　薩摩か徳川か

大奥内の江戸方と京方の対立が続く一方、和宮（堀北真希）と家茂（松田翔太）の仲は日増しに深まり、天璋院（宮崎あおい）は安心する。そんな中、幕政改革の勅令を得て幕府に迫ろうと、久光(山口祐一郎)が数千の兵を率いて京へ上った。困惑する天璋院に対し、江戸城内からは彼女こそが陰で糸を引いているのではないかと疑いの目が向けられる。そのころ、西郷（小澤征悦）は命令に背いた行動が久光の逆鱗に触れ、再び島流しとなっていた。一方、有馬（的場浩司）を中心とした尊王攘夷派は、突出に向けて動き始める。帯刀（瑛太）と大久保（原田泰造）はそれを止めようするが失敗。ついに久光から命令が出され、有馬らは寺田屋で壮絶な死を遂げる。朝廷の久光への信頼を強固にするため有馬が犠牲になったことを知った帯刀は、幕政改革を必ず果たそうと心に誓う。

第 37 回　友情と決別

久光(山口祐一郎)率いる薩摩の兵が幕府の改革を求め、みかどの使者を伴って江戸へ入ってきた。天璋院(宮崎あおい)は、一行の中に帯刀(瑛太)がいるのではないかと気になって仕方がない。勅使と幕府老中との交渉は進まず、久光の命令を受けた大久保(原田泰造)は武力を背景に幕府に圧力をかける。帯刀は、久光と大久保の強引な策に疑問を感じる。そんな中、天璋院は久光の真意を問うために会見を申し込む。その席上、久光に付き従う帯刀と天璋院は無言の再会を果たした。強い国をつくるため古い政治を終わらせるのだと主張する久光に対し、天璋院は徳川家と国を守り抜くと宣言。両者の話し合いは決裂する。天璋院は訪ねてきた和宮(堀北真希)に、自分は故郷を捨てたとつぶやく。しかし和宮は、故郷を捨てることなどできないと告げる。程なく天璋院は、家茂(松田翔太)に頼んで帯刀と大奥で会う。

第 38 回　姑の心嫁の心

帯刀（瑛太）からの書状で生麦事件の実情を知った天璋院(宮崎あおい)は、薩摩藩だけではなく幕府もイギリスに謝罪すべきだと主張する。一方、京では過激な尊王攘夷派である長州藩が薩摩藩に代わって政局の主導権を握り、久光（山口祐一郎）と岩倉（片岡鶴太郎）は失脚していた。そんな中、将軍家茂（松田翔太）のもとに、上洛と攘夷の実行を求めて勅使がやって来る。家茂は天璋院と相談し、自ら京に行って天皇に攘夷が困難であることを直接伝えようと心に決める。だが和宮（堀北真希）は家茂の身を案じ、京行きに反対する。そのころ、勝（北大路欣也）のもとに龍馬（玉木宏）がやって来た。勝を切るために訪れた龍馬だったが、勝の開明的な考えに感動し弟子になることを志願する。やがて家茂の京行きが迫り、江戸城では天璋院と勝との間で旅の行程をめぐり対立が起こる。

第 39 回　薩摩燃ゆ

家茂（松田翔太）が無事京に着いたという知らせが大奥に届き、天璋院（宮崎あおい）は喜ぶ。だが和宮（堀北真希）は家茂の身を案じ、ますます不安を募らせる。その予感は的中。京では長州藩を中心とする過激な攘夷派が朝廷を席巻しており、家茂は窮地に立たされる。ついに幕府は朝廷に対して攘夷の決行を約束し、家茂を送り出した天璋院は後悔する。天璋院は和宮に、兄である孝明天皇（東儀秀樹）に頼んで、家茂が江戸に帰還できるようにしてもらってほしいと話す。しかし和宮は、かたくなにそれを拒否する。天璋院は病に伏している家茂のもとに勝（北大路欣也）を派遣。勝と面会した家茂はその開明的な考えに触れ、少し明るさを取り戻す。そんな中、長州藩の攘夷決行の知らせが薩摩に届き、久光（山口祐一郎）は帯刀（瑛太）に、もはや戦は避けられないと告げる。

第 40 回　息子の出陣

誠忠組に、島流しにされていた西郷（小澤征悦）が帰ってきた。祝宴の席で帯刀（瑛太）は、芸妓のお琴（原田夏希）と出会う。そんな中、京都で勢力回復を図っていた長州藩が御所へ突入。「蛤御門の変」と呼ばれるその変事に帯刀ら薩摩藩は幕府軍として参戦。慶喜（平岳大）と共に迎え撃ち、みごと勝利を収める。一方、大奥では、滝山（稲森いずみ）が家茂（松田翔太）に側室を迎えさせてはどうかと天璋院（宮崎あおい）に進言。それは、一刻も早く世継ぎをもうけて徳川家の安泰を図りたいという滝山の思いから出たものだった。だが、仲むつまじい和宮（堀北真希）と家茂に水を差したくない天璋院は断固反対する。そんな中、勝(北大路欣也)が創設した海軍操練所は、蛤御門の変の影響で閉鎖の危機を迎えていた。勝は弟子の龍馬（玉木宏）を帯刀のもとに派遣し、塾生たちの面倒を見てほしいと要請する。

第 41 回　薩長同盟

長州との戦に向けた出陣を前にした家茂（松田翔太）は、次期将軍の候補にしたい人物を天璋院（宮崎あおい）に告げる。世継ぎを事前に決めておけば、自分に万が一のことがあっても後継者争いは起きないと考えた末の行動だった。天璋院は家茂を笑って送り出そうとし、和宮（堀北真希）はただ無事でいてほしいと願う。そんな中、観行院（若村麻由美）が病に倒れた。懸命の治療が施されるが症状は改善には向かわず、観行院は天璋院が催した雅楽の演奏を聴きながら安らかに息を引き取る。一方、薩摩では帯刀（瑛太）が勝（北大路欣也）を招き入れていた。いずれ勝が薩摩のために役立つと考えたからだった。さらに帯刀は龍馬（玉木宏）と共に、薩摩と長州が協力して幕政改革を行うことを構想する。そんな折、京都を訪れた帯刀は、芸妓のお琴（原田夏希）と運命的な出会いを果たす。

第 42 回　息子の死

天璋院（宮崎あおい）と和宮（堀北真希）は、出陣した家茂（松田翔太）の無事を一心に祈る。そのころ大坂の家茂は、慶喜（平岳大）と長州攻めの準備をしていた。だが薩摩藩の大久保（原田泰造）から兵を出すことを断られ、準備はなかなか進まない。家茂は江戸から勝（北大路欣也）を呼び寄せ事態を打開しようとするが、間もなく病に倒れる。一方、帯刀（瑛太）は幕府の役人に襲われて負傷した龍馬（玉木宏）と妻のお龍（市川実日子）を薩摩にかくまおうと案内していた。お近（ともさかりえ）と再会した帯刀は、京でお琴（原田夏希）と一緒に暮らしていることを告白する。お近は怒りのあまり帯刀につらく当たるが、お龍から好きになった相手が生きてさえいてくれればよいのではないかと諭され、彼を許す。そんな中、大奥に家茂が病気で倒れたと知らせが入り、天璋院と和宮は漢方医を家茂のもとに派遣する。

第 43 回　嫁の決心

家茂（松田翔太）の死を知らされ悲しみに暮れていた天璋院（宮崎あおい）は、和宮（堀北真希）が落髪することなく京へ帰るつもりでいると聞き、真意を問いただす。和宮は、徳川家も大奥も自分にとってはどうでもいいと語る。一方、薩摩では帯刀（瑛太）が久光（山口祐一郎）の命を受け、京へ向かう準備をしていた。帯刀はお近（ともさかりえ）に、お琴（原田夏希）とは別れると告げて出発しようとするが、お琴との間に子供ができていたことを知り別れを切り出せなくなってしまう。その後、帯刀は西郷（小澤征悦）、大久保（原田泰造）と協力し、列侯会議を開くことに成功。だが、したたかな慶喜（平岳大）に翻弄される。帯刀は、武力で幕府を倒すしかないと決意する西郷と大久保を見て衝撃を受ける。そのころ大奥では、京に帰る日取りを報告に来た和宮を本寿院（高畑淳子）が責めていた。

第 44 回　龍馬死すとも

家茂（松田翔太）の姿が消えた大奥は寂しさに包まれていた。跡を継いだ慶喜（平岳大）は京都にいて、薩摩・長州勢との戦に備えている。天璋院（宮崎あおい）は、あるじのいない大奥の危機を感じる。一方、帯刀（瑛太）は西郷（小澤征悦）や大久保（原田泰造）と一緒に岩倉(片岡鶴太郎)のもとを訪れていた。幕府は武力で倒すべきと主張する岩倉に同調する西郷と大久保の姿に、帯刀は衝撃を受ける。程なく帯刀は龍馬(玉木宏)から、政治を幕府から朝廷へ平和的に返す「大政奉還」の策を聞き、それを実行しようと決意。諸侯が集まった会議の席で、大政奉還の意義を熱弁する。慶喜から政権を朝廷に返上するという知らせを受け取った大奥の面々は動揺。天璋院もどうすればよいか分からない。そんな中、嗣子（中村メイコ）が他界し、静寛院（堀北真希）は深い悲しみに包まれる。

第 45 回　母からの文

将軍も御台所もいなくなった大奥では、天璋院（宮崎あおい）だけが心の支えとなった。そのころ帯刀（瑛太）は、徳川家を倒そうとする西郷（小澤征悦）と大久保（原田泰造）を必死に止めていた。だが2人は聞き入れず、岩倉（片岡鶴太郎）と共に幕府を倒す計画を進める。やがて、朝廷から官位と領地を返上しろという命令が慶喜（平岳大）に下る。天璋院は命令に疑問を覚えつつ、勝（北大路欣也）に戦は避けてほしいと話す。しかし慶喜が薩長勢を挑発し、諸国の軍勢が大坂へ集まる。帯刀は天璋院を救うため、お近（ともさかりえ）と共にお幸（樋口可南子）のもとへ。お幸は、天璋院に薩摩へ帰るよう手紙を書く。母からの手紙を読んだ天璋院は使者の小の島（佐藤藍子）に、帰ることはできないと涙を流しながら告げる。重野（中嶋朋子）は、滝山（稲森いずみ）に薩摩へ帰るよう天璋院を説得してほしいと頼む。

第 46 回　慶喜救出

天璋院（宮崎あおい）と静寛院（堀北真希）は大奥で寂しい正月を迎える。2人の願いもむなしく、大坂では慶喜（平岳大）が薩長軍討伐の兵を挙げようとしていた。西郷（小澤征悦）らも幕府軍を迎え撃つ準備を京で整え、ついに開戦。薩長軍は、岩倉（片岡鶴太郎）が準備した錦の御旗を掲げる。朝敵となった幕府軍は総崩れとなり、部下を捨てて江戸に逃げ帰った慶喜は勝（北大路欣也）に力を貸してほしいと頼む。だが頼るべき相手は天璋院だと言われ、渋々彼女に面会を申し込む。慶喜が逃げ帰ったという知らせは、大奥も揺るがしていた。慶喜の首を朝廷に差し出せと訴える本寿院（高畑淳子）を尻目に、天璋院は沈黙を保つ。慶喜と対面した天璋院は、生き恥をさらすくらいなら死を選ぶと話す彼に、生きるべきだと告げる。そして静寛院と共に慶喜の助命嘆願書を書くことを決意する。

第 47 回　大奥の使者

天璋院（宮崎あおい）と静寛院（堀北真希）は、将軍の慶喜（平岳大）の助命を朝廷に嘆願する方法について話し合う。そのころ、勝（北大路欣也）は幕府軍の陸軍総裁に任命された。徹底抗戦を主張する老中たちに対し、勝は薩長軍との戦は避けるべきだと主張する。一方、京で岩倉（片岡鶴太郎）と会った帯刀（瑛太）は、江戸攻撃の軍参謀が西郷（小澤征悦）に決まったと聞かされる。江戸攻めに反対する帯刀は西郷に会うため薩摩軍本陣に向かうが、面会を拒絶されてしまう。そんな折、京で隠居していた幾島(松坂慶子)が帯刀を訪問。幾島は帯刀に対し、江戸攻めを中止してほしいと話す。帯刀は西郷の気持ちを変える方法は一つしかないと幾島に告げる。それから間もなく、慶喜討伐軍が京を出立。江戸城大奥の天璋院は不安を募らせるが、そこへ幾島が現れ西郷にあてた手紙を書いてほしいと告げる。

第 48 回　無血開城

勝（北大路欣也）と対面した天璋院（宮崎あおい）は、官軍との戦を避ける方法について話し合う。勝は江戸に火を放ち、焼け野原にして官軍の江戸城攻めを阻もうと提案。しかし天璋院は、西郷(小澤征悦)の心を和平へと動かす手段を、幾島（松坂慶子）と一緒に考える。折しも西郷が率いる官軍が江戸に入った。西郷との話し合いのため薩摩藩邸に向かおうとする勝に、天璋院は斉彬（高橋英樹）の手紙を託す。西郷と対面した勝は江戸城明け渡しを約束した上で徳川家の存続を訴えるが、西郷は官軍による江戸城攻めを推し進めようとする。だが、勝が天璋院から預かった斉彬の手紙を見せると、西郷は心を動かされ江戸城攻めを取りやめる。京の御所でその知らせを聞いた帯刀（瑛太）は喜ぶが、岩倉（片岡鶴太郎）と大久保（原田泰造）は徳川家存続が新政府にとって脅威になるのではないかと考える。

第 49 回　明治前夜の再会

無血開城の日が近づいた江戸城で、天璋院（宮崎あおい）は大奥の住人たちとの別れを惜しむ。静寛院（堀北真希）は、徳川宗家が再び江戸城に戻れるよう朝廷に嘆願するつもりだと話す。ついに江戸城を去る日が訪れ、天璋院は大奥で過ごした懐かしい日々の思い出に浸る。一人で大奥の中を歩いていた天璋院は、花を生ける本寿院（高畑淳子）を見て、女中たちに皆で大奥中を生け花でいっぱいにするよう命じる。滝山（稲森いずみ）は、天璋院がいたからこそ大奥は混乱もなく無血開城を迎えられたと語る。天璋院は、大奥を閉じることが自分の天命だったのだと悟る。そのころ京では、帯刀（瑛太）が岩倉（片岡鶴太郎）らと会い、薩摩藩はほかの藩よりも先に版籍奉還を行うつもりであると告げる。一方、江戸では一橋邸に移った天璋院のもとに静寛院がやって来て、京へ帰ることを告げる。

第 50 回　一本の道

江戸城を出た天璋院（宮崎あおい）は、本寿院（高畑淳子）や唐橋（高橋由美子）らと平穏な日々を送っていた。そんな中、天璋院を訪ねてお幸（樋口可南子）と忠敬（岡田義徳）が薩摩からやって来る。これまでの苦労をねぎらうお幸に天璋院は、母の教えのおかげだと感謝する。そのころ大久保（原田泰造）らの新政府運営は多難を極めていた。頼みの西郷（小澤征悦）は薩摩へ帰ってしまい、体を壊した帯刀（瑛太）は大阪の病院で闘病していた。お琴（原田夏希）の看病もむなしく、帯刀の病状は悪化。薩摩から駆け付けたお近（ともさかりえ）の顔を見た帯刀は、満足な人生だったと言い残し世を去る。帯刀が残した手紙に心動かされた西郷は、新政府へ復帰することを決意する。一方、天璋院のもとを訪れた静寛院（堀北真希）は徳川家を継いだ家達（私市夢太）の聡明さに触れ、安心する。

宮崎あおい号泣！「篤姫」感動ゴールイン

女優、宮崎あおい（22）主演のＮＨＫ大河ドラマ「篤姫」が27日、東京・渋谷の同局ですべての撮影を終了した。

　宮崎はサプライズで駆けつけた夫役の堺雅人（34）の姿を見るや泣き崩れ、「強烈な出会いでした。本当に大好きでした」と新婚の夫、高岡蒼甫（26）も妬くに違いない熱い告白。「篤姫」になりきった撮影期間の１年２カ月を振り返った。

　ラストシーンは12月14日放送の最終回。裁縫をしている篤姫が居眠りしながらこときれる。スタッフのOKの声にたちまち瞳を赤くした宮崎。共演の北大路欣也（65）らに花束を贈られ涙をあふれさせたが、この人の登場には思わず、しゃがみ込んだ。

　13代徳川家定役の堺。顔を覆い泣きじゃくる宮崎に優しく話しかけて立ち上がらせ、包み込むように肩を抱いた。まさに、ドラマで演じた夫婦の１シーンを見るよう。「うそのないひとつひとつの反応を積み重ねて芝居ができた」という堺に、宮崎は「台本に『好きになる』と書いてあるからではなく、わたし自身が好きになるから芝居も深くなった」と応え、「1年2カ月、篤姫を生きることができて本当に幸せでした」とかみしめるように語り、役との別れを惜しんだ。

　今月21日放送分までの平均視聴率は24.0％（ビデオリサーチ関東地区調べ）で、平成９年以降の大河では最高の視聴率を記録中だ。（サンスポ　'08 9/28）

宮崎あおい号泣　最年少22歳が409日間完走…「篤姫」クランクアップ

　NHK大河ドラマ「篤姫」が27日、東京・渋谷の同局でクランクアップを迎えた。過去12年の大河ドラマで最高の平均視聴率24.0％（21日現在、関東地区）を記録中の人気作。409日間にわたる撮影を無事に終え、泣き崩れた主演女優・宮崎あおい（22）は、この撮影に入る直前に結婚した夫の高岡蒼甫（26）と劇中で夫役を演じた堺雅人（34）に感謝の言葉をささげた。

　泣いた。宮崎は両手で顔を覆い、声を殺して泣き続けた。「ボロボロでごめんなさい。私は幸せ者でした。1年2か月、篤姫を生きることが出来て本当に幸せでした」。演じる天璋院（篤姫）が49年の生涯を閉じるラストシーンを撮り終えると、スタジオの壁に「篤姫」の名シーンの映像が流れ、くす玉が割れた。桃色の紙吹雪が舞い、真っ赤なバラが贈られた。

　共演者たちから感謝の言葉を掛けられると、涙は大粒になった。北大路欣也、小澤征悦、高橋由美子、そして予定になかった夫・家定役の堺がサプライズ登場すると、ひざから崩れ落ちて泣いた。「（物語では）亡くなっているので、生きていてくれただけで。大好きでした」。死別した夫に最後の告白をした。

　昨年8月15日から409日間。大河史上最年少（22歳1か月）の主役を完走した。薩摩に生まれ、徳川13代将軍・家定に嫁ぎ落飾後は天璋院となった「篤姫」が近年、低調続きだった大河ドラマを変えた。平均視聴率は24.0（21日現在）と最近12年で最高の数字。民放を含めた今年の連ドラでナンバーワンの人気を誇る。宮崎は「（高視聴率は）すごい心強かった。見ていてくれた方も泣いたり笑ったりしてくれたのかな」と視聴者に感謝した。「戦国こそが大河。幕末は視聴率を取れない」というジンクスを覆した。合戦の派手さがない分、ホームドラマの要素を取り入れ、広い層のファンを獲得した。

　宮崎あおいを祝福する共演の堺雅人　そして、宮崎はもう1人、感謝したい人を挙げた。「今日で終わることを知っていたので『1年間お疲れ様でした』ってメールをくれました」。昨年6月に結婚。長丁場の撮影を陰でしっかり支えてくれた夫・高岡への感謝の気持ちを短い言葉の中に込めた。

　物語中盤で死別した堺は「思いもしなかった夫婦になった。役を離れて、モニターで見てみたら本当にきれいだと思った。ゆっくり休んで下さい」と宮崎をねぎらった。12月14日放送に最終回を迎えるが、11月30日放送の第48回で堺が再登場することがこの日、発表された。29日からは12月9日まで（月～金曜・後5時）衛星ハイビジョンで再放送が始まる。（報知　'08 9/28）

『篤姫』最終回視聴率28.7％、全50回20％超え

　NHK大河ドラマ『篤姫』が14日に最終回を迎え、その視聴率がビデオリサーチの調べで28.7％（関東地区・番組平均）だったことが15日（月）、わかった。これで第1回から最終第50回まですべて20％以上を記録。

　同作は、新進気鋭の女優・宮崎あおいの主演で放送開始当初より注目され、放送回数を重ねるごとに人気も上昇。9月にはそんな視聴者からの希望に答え大河ドラマでは異例ともいえる第1回からの集中アンコール放送を実施した。最終回は70分の放送。若手女優が49歳までの篤姫を演じきった。

　なお、放送期間中の最高視聴率は、11月30日放送の29.2％。また、初回から最終回までの期間平均視聴率としては24.5％となり、1997年放送の『毛利元就』の23.4％を超えて、過去10年で最高記録。　（オリコン　'08 12/15）

篤姫、最終回視聴率28.7％　人気の秘密は？

　14日夜に放送されたＮＨＫ大河ドラマ「篤姫」（宮崎あおい主演、全50回）の最終回の平均視聴率が28.7％をマークしたことが15日、ビデオリサーチの調べで分かった。自己最高の29.2％（第48回）には惜しくも届かなかったが、初回から最終回まで一度も20％台を割ることなく、“篤姫現象”を巻き起こした。その人気の秘密を探ると－。

　「篤姫」の初回から最終回までの期間平均視聴率は24.5％。同じく“女性大河”といわれた平成18年の「功名が辻」（仲間由紀恵主演、同20.9％）を大きく上回り、8年の「秀吉」（竹中直人主演、同30.5％）以来の高さとなった。

　「篤姫」の初回は20.3％。前年の「風林火山」（21.0％）は下回ったものの、以後は４回連続で上がり続け（第5回は24.0％）、“篤姫現象”として話題となった。その話題がさらに世間の関心を集めることで、初回以来一度も20％台を割ることなく、篤姫人気は一気に上昇気流に乗った。

　以降も、第9回＝25.3％▽第24回＝25.7％▽第27回＝26.0％▽第32回＝26.4％（五輪中継の裏）▽第33、36回＝27.7％▽第40回＝28.1％▽第48回＝29.2％－と、10度以上にわたって自己最高を更新する驚異的な力をみせた。

　「篤姫」がこれほどの人気を得た理由の第1は「若々しさと明るさ」だろう。ヒロインを演じた宮崎あおいは放送開始時に22歳1カ月と歴代最年少の大河主役。すでに18年度上期のNHK連続テレビ小説「純情きらり」（期間平均19.4％）でヒロインを務め、凛として明るいキャラクターの魅力と演技力には定評があった。個性派女優というべき宮崎が、多彩な共演者たちに互し、相手を輝かせて自身も輝くという大河主役の本道を走りきった。

　第2は、その共演者たちの魅力。なかでも松坂慶子（幾島）と堺雅人（夫の徳川家定）の登場回は確実に視聴率が上向いた。長塚京三と樋口可南子（父母）、高橋英樹（養父の島津斉彬）、瑛太（幼なじみで後の小松帯刀）、稲森いずみ（滝山）なども光り、長丁場の大河を要所要所で引き締めた。

　第3に、本紙8月18日付の本紙記事でドラマ評論家の小泉すみれさんがいみじくも看破した「ディズニープリンセス大河」のドラマ構造が、若い女性視聴者を呼び込み、つなぎ止めたようだ。小泉さんの談話を再掲すると、「主人公は愛情に満ちあふれた中で育った賢い女の子で、王子様（家定）は暗愚なふりをしているが実はすてき。描き方がすごく親しみやすい。もめ事の多い大奥でありながら、周囲の動きもコミカルでに描かれ、見ている人に分かりやすい」。

　そう考えると、幾島らの共演者たちも、なにやらディズニーアニメのキャラクターに見えてくるから愉快だ。実際、幾島の初登場と再登場シーンには雷鳴が轟いていたから、演出側も、意図的にアニメタッチをねらったのかもしれない。毎回の劇中音楽も、時代劇らしくない曲調となっていた。

　脚本（田渕久美子）も実に平易だった。前年の「風林火山」（期間平均18.7％）のせりふ回しの難しさ、人物関係の複雑さに比べると、けた違いの分かりやすさ。薩摩時代も、大奥に入ってからも、基調は「家族・親子・夫婦の絆」であり、それを前面に出した文字通りのホームドラマだったことが、成功の要因だろう。　（サンスポ　'08 12/15）

	「義経」はだいたい見たのですが、しっかり見たのは「新選組！」以来きちんと大河ドラマ見ます。
宮﨑あおいちゃんが主演ってことに嬉しくて、さらに「大奥」で菅野美穂さんの篤姫が好きだったので、楽しみにしていました。そして瑛太くんが帯刀様とは魅力的でたまらない。ほかにも家定役の堺雅人さん、和宮役の堀北真希さん、家茂役の松田翔太さんも楽しみ。「大奥」で描かれていなかった部分もたくさん見れると思うので、しっかり見ます。
ちなみにレビューしようかと思ったのですが、さすがに重いので止めておきますが、内容だけは残しておこうと思います。
	篤姫ではなく、天璋院様…そう呼ぶべき女性にみごとなりましたね。
選ばれた人間だった。天璋院がいなければ、徳川家は守れなかった。人を動かす力を持つ人間は限られた人間だものね。だから大奥の女中も家茂も勝も、宮さまも慕い、頼るようになった。
家定とも結婚生活は少しの間だったが、少しずつに近づき、お互いを敬い、亡くなってからも支えたのは家定の大きな存在でしたね。徳川を守るという約束を忠実に守り続けた。
尚五郎が亡くなり、泣き崩れ、回想シーンは胸が痛みましたね。生まれる前からの絆、結ばれる関係ではなかったけどーお互いを大切に思いやり、どこかで繋がっていた。お近が看取ったことも良かったね、本当はお琴だったんでしょ？
母上、静寛院、西郷、大久保、次々に亡くなり、でもお近の思いは受け継がれるという言葉に助けられましたね。
天璋院がこの世を去り、49歳だったんだ…。菊本の言葉「女の道は、前に進むしかない、引き返すのは恥でございます。」一本道をまっすぐに曲げることなく進みましたね。
回想は涙が出ました…本当に強く、温かく幕末を歩み抜いた女性でした。